あるクライアントさまが、ご主人の毒舌にほとほと嫌気がさして、離婚しようかな・・とまで思い詰めていました。
彼女はちょっとぽっちゃり体型なのですが、ご主人が彼女が嫌がっているのにも関わらず、身体的特徴を持ち出してからかうのです。
「そのお腹のなかにスイカ入ってるんじゃない?」
「うわ~二の腕ぷよぷよしておもしろい!」
彼女が「やめてよ!」と言っても楽しそうにからかい続けます。
とうとう彼女が本気で怒ると、「冗談なのに本気で怒るなんて」と彼も機嫌を害してしまいます。
それなのに、また別の機会に彼女をからかい出します。
いくら言っても、からかうのを止めないのです。
「本当は私のことが嫌いで悪意でやってるのか、でなければ全く人の気持ちが分からない人なのか、どちらでしょう?」と言うのです。
実は、ご主人は悪意でやっているのでもなければ、人格的に欠陥のある人でもありません。
悪気はないし、相手を傷つけるつもりではなく、全く無意識でやっているのです。
エリックバーン博士はこのようなやりとりのことを「心理ゲーム」と言いました。
ゲームとは、「繰り返し行われ、最後はお互いが不快な感情を残して破壊的に終わる一連の交流」のことです。
ゲームは、仕掛ける人と、仕掛けられる(ゲームに乗る)人がいて成り立ちます。
なぜゲームを仕掛けるのかというと、本当は親密さや承認がほしいのですが、肯定的な求め方ができないので、否定的な求め方をしてしまいます。
幼いころに親や周りの大人からいつも否定的な交流しかされてこなかった人は、そういう交流の仕方しかわからないのです。
そして結果的に「自分はやっぱり嫌われている」「人はろくなもんじゃない」「誰も私を救えない」などという無意識の信念が正しいことを確認するに至ります。
「私はOKじゃない」、「相手はOKじゃない」ということを証明しているのです。
自分を否定する、他人を否定することは不快であるにも関わらず、幼いころから感じてきた「慣れ親しんだ感覚」であるため、無意識でそこに落ち着こうとしてしまいます。
もちろん、仕掛けられた方も最後は怒りや不安、無力感や罪悪感などの、イヤ~な感じで終わります。
ゲームの種類は次のようなものがあります。
●キック・ミー
●うん、でも
●あらさがし
●さあ捕まえたぞこの野郎
●あなたのせいでこうなった
●こんなに頑張っているのに
●仲間割れ
●捕まえるなら捕まえてみろ
などなど・・
「キック・ミー」
前述のご主人の場合は「キックミー」ですね。
相手の嫌がるような態度や言動を繰り返して、無意識に相手を挑発します。
相手の怒りや非難を浴びて「あ~やっぱり自分は嫌われるんだ」ということを証明しているのです。
彼はおそらく親から認めてもらう・褒められるなどのプラスの働きかけよりも批判・非難・叱責などのマイナスの働きかけをされてきたのでしょう。
自己肯定感が低く「自分はダメだ」という感覚を持ち続けてきた人です。
「はい、でも」
相手に相談を持ち掛けます。
相手が「こうしたらどう?」と解決策を提示すると「そうね。」といったんは受け取り「でも・・」と難しい理由を言います。
相手がまた「じゃ、これはどう?」と別の解決策を提示するとまた「そうですね・・でも・・」と断ります。
そんなことが続くと相手はイライラして「もう勝手にすれば!」と爆発してしまいます。
このゲームを仕掛ける人は無意識に「相手は決して私を救うことはできない」ことを証明し、相手に無気力感を味わわせているのです。
こういう人は親に自由にさせてもらえず強制させられた恨みを持っている場合が多く、他人の言う通りにはならないぞ、という思いがあります。
「あらさがし」
些細な相手のミスや欠点を探し出して大げさに非難します。
姑が嫁の態度や行動をいちいちつついて非難する、
上司が部下を、先輩が後輩をねちねちといじめたりしごく、
客が店に、親が学校に、陰湿にクレームをつける・・
あらさがしは「相手はOKでない」ことを証明することによって無意識に自分の存在を確認しようとしています。
無価値観にさいなまれる人がやってしまうゲームです。
こういうゲーム、あなたの周りにやっている人はいませんか?
あるいは、あなた自身が気づかずにやってしまっていませんか?
ゲームは、無意識で、同じパターンを繰り返してやってしまっているものです。
仕掛けた方も仕掛けられた方も、不毛な時間を浪費するだけで、結局不快な感情だけが残り、関係はこじれてしまうばかり・・
この不毛なゲームから抜け出すには・・まず、気づきましょう。
気づいたら変えられます。
相手がゲームを仕掛けているな、と思ったら、
そのゲームに乗らないことが大事です。
「あなたは何がしたいの?」「なぜそう思うの?」「私にはわからないわ」などと切り返して会話を終わらせる、
反対に相手を思い切り持ち上げて承認欲求を満足させてしまう、
自分の感情をきちんと表現する、などの方法があります。
例えばそのご主人の場合、
本当は愛されたい、親密になりたい、認められたいという欲求があって、でも気持ちのいい交流の仕方を知らないのでこういうゲームをしているのです。
だから賞賛する、認める、感謝するなどの肯定的な働きかけをたくさんしてあげましょう。
相手が「こんな不毛な交流をしなくても親密な関係を築ける」ということに気づけば、だんだんゲームを仕掛けなくなります。
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