あるクライアントさまのお母さんは美しく社交的な方なのですが、

家にいないことが多く、あまりかまってもらえなかったそうです。

 

彼女が幼い頃、そんなお母さんに

なんで私を産んだの?」と聞いたそうです。

 

その質問にお母さんは、家を飛び出してしまいました。

びっくりした彼女は走ってお母さんを追いかけたそうです。

 

とても切なく心痛いエピソードですよね。

 

小さい娘が「なんで私を産んだの?」と聞きたくなる、

その気持ちはどんなものでしょうか?

向き合ってもらってない、関心をもってもらってない。

自分はいらない子なんじゃないか・・と思ったから聞いたのでしょう。

 

では、このお母さんは、なぜ家を飛び出したのでしょうか?

この子はどうしてこんなことを聞くんだろう?

と娘の気持ちを推し量るのではなく、

私はこんなにがんばっているのに責められた!

と傷ついて、いてもたってもいられなくなったのですね。

 

心のベクトルがいつも自分にばかり向いているので、

相手の気持ちを汲み取る余裕がないのです。

 

心のベクトルがいつも自分に向いている・・心が幼いのです。

 

周りが気になって仕方がない。

他人に振り回されている。

他人軸。

これも、ベクトルが他者に向いているようで、実は自分に向いているのです。

すべてのことを自分に結び付けて考えているのです。

相手を見ているようで、相手のことは見えていません。

相手から見た自分」に意識が集中しているのです。

 

こういう人は、自分が好きなのかといえば、

決してそうではありません。

自分に自信がなくて、自分を肯定できない、

自分を受容できない人なのです。

だから、

他人からの愛情や賞賛や承認を渇望してしまうのです。

 

 

それに対して、心が成熟している人は、

自分という殻から出て、相手の気持ちを汲み取れる人。

 

自分を受け入れていて、自分が大切なのはもう当たり前の世界で、

自分を卒業している。自分を忘れている。

「他人にどう見られているか」を意識していない、そんな状態の人です。

 

例えば、

相手がむすっとした表情をしているとき・・

 

どうしたんだろう、体がきついのかな、何かあったのかな?

と思うのは相手にベクトルが向いている状態。

 

私のせい?何かしたっけ?」「私のこと嫌いなの?

と思うのが自分にベクトルが向いている状態。

 

 

職場で同期の友人が昇進したとき・・

一緒に喜んであげられるのは相手にベクトルが向いている状態。

自分はなんで出世できないのか」と落ち込むのは自分にベクトルが向いている状態。

 

隣の人が咳き込んでいるとき・・

大丈夫だろうか」と心配してあげられるのは相手にベクトルが向いている状態。

風邪を移されたらどうしよう」と思うのは自分にベクトルが向いている状態。

 

 

親も、子どもが少し大きくなったら

自分がいなくなっても生きていける人間(つまり自立した大人)

に育てようとするのが成熟した親。

 

いつまでも子どもに必要とされていたいから

あれこれ世話を焼き続けるのは、心が幼い親なのです。

 

 

子どものときは、みんな自分にベクトルが向いています。

世話してもらって、気持ちを汲み取ってもらえて、いつでも安心感をもらえて、

自分が愛されている、守られている、という基本的信頼が培われれば

だんだん心のベクトルが自分から他者に移行していきます。

 

ところが、

関心をもらえない、守ってもらえない不安がある、

気持ちをうけとめてもらえていない子どもは、

大きくなっても関心は自分に向いたままです。

 

では、心が幼い人は、その人が悪いのかというと、

その人のせいではありません。

 

親に充分に愛されなかった(と思っている)からです。

あるいは、先祖から譲り受けた心の癖なのです。

では、その親が悪いのか?

そうではありません。

その親もまたその親に愛されなかったからです。

そうしてみると、誰が悪いのでもない、世代間連鎖がずっと続いてきているのですね。

 

でも、気づいたら救いはあります。

まずは気づきましょう。

 

承認欲求で生きている自分に。

他人に認められるためにがんばってる自分に。

それは結局、

自分の人生ではなく、他人のための人生なのだということに。

 

そして、そんな自分を責めないこと。

他の誰より、自分が自分を愛して、認めてあげましょう。

誰か受け止めてくれる人に気持ちをきいてもらう。

あるいは紙に書き出す。

そうやって自分としっかり向き合いましょう。

 

等身大の自分を受容できるようになれば、自分から卒業できます。

何でもかんでも自分に結び付けていたのが、ある日、心のベクトルが

相手に向いている自分に気づく日がきます。

 

 

 

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