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先回の続きで、今日はアダルトチルドレンの家庭での役割についてお伝えしていきます。

 

私たちは、他人との関係を持つとき、自然に「役割」というものを

持っています。

引っ張っていく役、ついていく役、相談する役、アドバイスする役、

仲裁する役、慰める役、慰められる役・・・

時と場所と場合に応じて、ある時には誰かを世話する役、またある時

には誰かに世話される役・・と、いろんな役割になれるのが、

自然で健康なことです。

 

ところが、アダルトチルドレンの場合、育った家庭で身につけた役割が、

他の場所や人間関係のなかでもずっと固定されてしまうことが問題に

なります。

その「役割」以外の他人とのつきあい方ができないし、

その「役割」以外の自分になることがすごく怖く感じてしまうのです。

 

家庭で「いい子」だった子は、学校でも職場でも「いい子」を演じ続け、

家庭で「問題児」だった子は、自分でも止めたいのに問題を起こし

続けてしまいます。

 

「ヒーロー」と「スケープゴート」は、親から見ると

「いい子と悪い子」と、対象的に映ります。

 

ヒーロー(Hero)

優秀な子ども。いわゆるエリートです。

親が学歴主義や成果主義で、「優秀でないと愛されない」と思った子どもは、

愛されるために自分をせきたててがんばります。

または、両親が不仲だったり家庭にいろんな問題がある場合、家の中の

重苦しい雰囲気や悲しみから目をそらすために、勉強に打ち込みます。

 

親にとっては自慢の子どもです。

しかし「実績や成果を出せない自分はダメ」と感じているので、ありのままの

自分に価値を見出せません。

成功していても、幸せを感じられなかったり、仕事にのめりこんで心に余裕が

見られません。

まるで終りなきゴールにむかって自分を追い立てているようなイメージです。

 

私の所に相談に来られる方のご主人様は、このタイプが大変多いです。

頭がよく高学歴、周りの評判もよく、仕事もでき・・あらゆる面で優秀な人。

つきあっている時は、かっこよくて優しくて、理想の男性だと思ったのに

結婚後しばらくして「えっ」と思う面がでてくるのです。

 

スケープ・ゴート(Scapegoat)

いわゆる問題児、トラブルメーカーです。

暴れたり問題を起こす行動により、体を張って家庭の問題を外に出します。

親に「家の問題は全てはこの子のせい」という幻想を抱かせ、

家族の真の崩壊を防ぐ役割です。

でもこれは無意識にやっていることで、本人は気づいていません。

 

自分ではなぜかわからないけれど親に反抗したくなり、イライラして

感情が落ち着かないのです。

大人になっても目上の人には自動的に反発心がわいて、トラブルを起こし

がちです。

また、ケガや病気、精神病・人格障害を背負うことさえも役割の一環となる

場合もあります。

 

家庭内では親の「悩みの種」として叱られ、ヒーローの子どもと比較されて、

心が傷ついています。本当はこんなことはしたくないと思っていて、自分を

責めています。

 

 

次に「リトル・ナース」「イネイブラー」「プラケーター」は、

家庭で親を手助けし、奉仕する役割です。

 

この3つをひとまとめに「ケアテーカー」ということもできますが、

少しずつキャラクターが違ってきます。

もちろん、この3役を一人でやってきた、という人も多いでしょう。

 

根が優しく心の広い、よく気が付く方で、私のクライアントさまでも、

最も多いタイプです。

でも、幼いときから自分より他人を大切にする習慣ができているため、

我慢の人生になってしまいがちです。

自分がつらいときに親に気持を聞いてもらっていないため、寂しさや

悲しみを抱えています。

その寂しさや悲しみが、人生のいろんなシーンで再現されるのです。

 

リトル・ナース(Little Nurse)

家の中の問題を何とかしようと奔走します。

犠牲になった家族を守り、世話をします。

家族に波風立てず、争いを避けることを目的とします。

家族のために何かをしようと常に考えて、自分を失っている状態です。

長女に多いと言われています。

他人に優しく自分に厳しいので、人に好かれますが、辛くても甘えることができず、

問題を一人で抱え込んでしまうのでストレスを溜めることが多くなります。

 

誰かの役に立つことで自分の価値を感じているため、結婚相手も大変なパートナーを選びがちです。

 

イネイブラー(Enabler)

家族の支え役で、家の中の用事を親に替わっていろいろとします。

親のパートナー役として相談にのったり、親が精神的に未熟だったり

する場合は親代わりとして兄弟の保護者役をします。

長男・長女に多いタイプです。

 

自分の好きな遊びもせず、家のことばかり考えて行動します。

すべて親の為、家庭の為です。いつも自分の感情を抑圧して我慢しています。

大人になっても心から楽しむということができません。

責任感があり周りに頼られる人ですが、自分は頼ったり甘えたりするのは下手です。

「相手を助ける」ことが自分の価値と思ってしまう面があり、

世話を焼かずにはいられないため、相手の自立を妨げることもあります。

共依存に陥りやすいです。

本当は親に愛されたいし、甘えたいのに、それを抑えこんでいるため、言葉にできない寂しさを抱えています。

 

 プラケーター(Placater)

なだめ役。小さいカウンセラー。

暗い顔をして溜息をついている親(多くは母親)を慰める役割です。

親の気持や、今日何があったかなど、聞いてあげます。優しく共感的な性格です。

末っ子に多いと言われています。

 

本当は親が子どもの気持ちを聞いてあげるべきなんですが、

親はいっぱいいっぱいになっていて、この子に精神的に甘えるだけで、

この子の気持は量れないため、いつも心の中に寂しさを抱えて生きています。

 

大人になっても他人の気持を敏感に感じ取り、自分らしい行動ができません。

 

 

最後は、ピエロ、ロスト・ワン、ロンリー、プリンス・プリンセスについてです。

 

 ピエロ(Clown)

ひょうきんで、ふざけたり、バカなことをしでかしては、無意識的に関心を

自分に引き寄せ、家族の緊張を和らようとしています。

反応タイプとしては「逃避」の鎧を着ています。

 

家中を陽気にするために、楽しく明るく振舞いますが、

自分の内面はかなり繊細で、不安や怖れがあります。

怒りたい時も怒れません。

 

いつも空気を読んで人の顔色を伺っているので、

本当の自分の感情が分からなくなってしまいます。

 

大人になって、深刻な問題が起こったときも、真正面から向き合おうとすると

頭が真っ白になってフリーズしてしまい、目をそらしてしまうところがあります。

 

 

ロスト・ワン(Lost One)

おとなしく、目立たない子。

自分に自信がなく、自己主張をしません。

いい意味でも悪い意味でも親の関心度が低く「手のかからない子」に見えます。

 

でも「親に愛されていない」寂しさが限界になると、

突然非行や犯罪に走って、親や周囲の関心を引こうとする子どももいます。

 

大人になっても集団のなかで人の目を気にしすぎて自己表現ができず、

消極的で、いるかいないか分からないような存在になりがちです。

 

ロンリー(Lonely)

親や家庭から距離をおき、ひきこもります。「遮断」の鎧を着た子どもです。

 

「どうせ自分は理解してもらえない」という不安や悲しみに満ち溢れています。

大人になっても社会に溶け込めず、自分をオープンにできません。

自己嫌悪に陥り、他人と深い人間関係を築けません。

 

プリンス・プリンセス(Prince・Princess)

親の言うことに従って、期待通りの行動を起こすことで居場所を確保する人です。

親に人形のようにかわいがられ溺愛されますが、自分の意思は

無視されているので、のびのびと自由な子供時代を過ごすことが出来ません。

 

母親の価値観がそのまま自分の価値観の価値観になっていますが、本人はそれに気づいていません。

表面的には両親と仲良しですが、内面に様々な生きづらさを抱えています。

周りに流されやすく自分の意志が弱いので、頼みごとを断れない性格です。

モラハラやDVを受けやすいタイプだと思います。

 

 

本当の自分に気づこう

兄弟姉妹がある場合には、それぞれが無意識に得意な分野を担って、

一人がひとつないし二つの役割を演じればいいかもしれません。

 

しかし、一人っ子の場合、一人がいくつもの役割を演じるほかないため、苦痛ははるかに大きくなるでしょう。

 

アダルトチルドレンがなぜ生きづらいのか・・

安心して自分らしく振舞うことのできない家庭で生き延びるために、

長いあいだ本来の自分を偽って、「役割」を演じてきたからです。

 

本来の自分でないために、本当の意味で他人との間に暖かいふれあいのある関係を築けないからです。

 

どのような「役割」を演じてきたかに関わらず、アダルトチルドレンは

自分が他人とのつながりの世界から切り離されているように感じるのです。

 

「ヒーロー」など社会で成功しているような人でも、内面では幸福感をもてないまま生きているのです。

さらに不幸なことは、そういう「役割」を自分が演じてきたことに気づかず、

もともとの自分の個性だとカンチガイしている人が実に多いのです。

 

カウンセリングを受けるなかで自分を客観的に見つめることで、

「自分がアダルトチルドレンの要素があるかも知れない」ということに気が付けば、

自分が幼いころ、どういう理由でこの役割を演じることになったのか、

自分は幼いころ、どういう感情を抑えてきたのか、

自分は本当はどうしてもらいたかったのか、

この役割をこれからも自分は演じる必要があるのか、

 

こういったことを丁寧にたどっていくことで、この役割とさよならし、

本当の自分らしい人生を生きることができるようになるでしょう。

 

 

 

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