些細なことを持ち出してずっと妻に怒っている夫
それまでは奥さんのことがとても好きだった旦那さんが、突然些細なことで怒りだして、それが数か月から数年も続く・・というご相談がここ数年、とても増えています。
奥さんはとてもいい人で、旦那さんも、実はなんだかんだ言って奥さんのことが好きなのが、態度や行動ににじみ出ています。
なのに、奥さんに理由にならない理由をつけては怒って無視したり、嫌がらせをしたり・・・。 まるで、訳も分からず暴れている中学生の男の子の反抗期みたいです。
・・そういう旦那さんには、いくつかの共通点があります。
学生時代に反抗期がなかった方が多く、たいてい長男か一人っ子です。 仕事は真面目にがんばっていて優秀な人が多いのに、なぜか自信がなく劣等感を持っていたりします。
よく話を聞いてみると、そういう旦那さんのお母さんは、一見分からないんだけど実は毒親だった、つまり隠れ毒親だったということが多いです。
隠れ毒親には2つのタイプ
毒親という言葉は日本ではもうかなり浸透して、メディアでもあちこち取り上げられるようになりました。
毒親というと、子どもをコントロールして暴言暴力をふるうとか、子どもの世話をしないで娯楽にふけるネグレクトタイプ、または過保護過干渉のコントロールタイプを想像しがちですが、一見すると全く毒親に見えない場合があります。
上記のような分かりやすい毒親育ちなら、最近では情報があふれているため、対処がしやすいし、カウンセリングを受けて意外と早く生き辛さに気づいて改善できる場合が多いのです。
ところが、親本人はもちろん、子どもも気づかない毒親育ちがかなりたくさんいることを、数百組のカップルのカウンセリングをしてきて分かりました。
隠れ毒親は、2つのタイプがあります。
【強くてしっかり者の、陽タイプ】と、【子ども第一で心配性の、陰タイプ】です。
それぞれの特徴を説明しますね。
強くてしっかり者の陽タイプ
陽タイプの隠れ毒親は
・仕事を持っていて、専門職に就いていたり職位も上の場合が多い。
・しっかり者で、チャキチャキ・サバサバしている。
・周りからも一目置かれている。
という特徴があります。
このタイプの母親は仕事もバリバリこなしていて社交的な人が多く、人望も厚かったりします。リーダーシップに長けていて自分の意見ははっきり言うし、筋が通っているように見えます。
でも、子どもの世話はするし外でがんばって働いてはいますが、子どもの気持ちに寄り添ったり受け止めたりすることは苦手なのです。
子どもは、お母さんがいつも忙しいし、何か気持ちを打ち明けてもゆっくり向き合ってもらえないのです。反抗しようとしても言い負かされるので、太刀打ちできません。だから学生時代には反抗期がなかった人が多いです。
こういうお母さんに育てられた子どもは優秀な子が多いですが、なぜか自己肯定感が低かったり「自分は価値がない」と思っていたりして、自責の念が強い人もいます。それで自虐したり、必要以上に頑張って自分を追い立てるような生き方をします。
一見すると分からないですが、心の奥に劣等感があるため、奥さんに対して何かとモラハラしたり、年下の女性と不倫して、満たせなかった劣等感を癒そうとします。
自分が親に反抗できなかったため、自分の子どもにも反抗することを許せません。特に息子には厳しく当たることが多いです。
子ども第一で心配性の陰タイプ
陰タイプの隠れ毒親は、
・いつも子供を最優先に考えていて、主婦であることが多く、家事も上手にこなしている。
・いい人に見える。
・悲劇のヒロインで不幸そうに見える。
という特徴があります。
母親本人も、子どもも、周りの人も「いい母親だ」と思っています。実際、優しくて子どものことだけを考えて生きているように見えます。
でも、子どもの気持ちを考えてあげているようで、実は子どもをコントロールしています。
表面的には「好きなようにしてもいいわよ」と言いながら、自分の枠にハマらないと悲しそうな顔をしたり不機嫌そうになるので、結局子どもは母親の言う通りにしてしまいます。
言葉と本音が違うので、このお母さんに育てられた子どもは、人のことを信用することができず、言葉そのまま受け取れず疑い深い性格になります。
子どもが尽くしても尽くしても、お母さんは不幸そうで決して満足することがありません。
ブラックホールのように、子どものエネルギーを吸い取ってしまうので、子どもはなぜか家庭で混乱や絶望感を感じています。
このお母さんは、無意識で「自分は決して満足しない。幸せにならない。」と決めているのです。
だから、子どもや周りの人の好意に対して一時的には感謝したり満足することはあっても、「私の人生は幸せだ」とは思えません。 ですから、いつも不満があります。 表面的には感謝していても、心の中では感謝がありません。
人生の責任をとらず、他人のせいにする傾向があるため、 周りの人は、何をやってもお母さんを満足させることはできないという無気力感を覚えます。
こういうお母さんに育てられた子どもは、なにか生きづらく、得体の知れない怒りを抱えているのですが、それがどこからくるのか分からないのです。
「お母さんはいい人だ」と思っているので、お母さんに怒りを向けることができず、だけど素直にお母さんを愛することもできず、そうできない自分を責めてしまいます。だから深い罪悪感を持ってしまいます。
義母が隠れ毒親だと気づいたら・・
もちろん、お義母さんは自分が子どもを生きづらくしていることに気づいていないだけで、本人もまた祖母にそのように育てられたので無意識なのです。けっして悪気があってやっているわけではありません。
でも、子ども自身が母親の何がどういう風に、自分の人生に影響を及ぼしているのかに気づかないと、生き辛さは解消されません。
一番いいのは、旦那さん本人が自分の親が毒親だったと気づいて、心の距離を取ることです。
ところが男性は、本能的にお母さんが大好きで守らないといけないと思っているので、「うちの母親、ちょっとおかしいぞ」ということになかなか気づけないのです。
それで、母親に怒りを向けられないのでずっと無意識にくすぶっているのですが、それがふとした機会に奥さんに向けられるのです。
妻が、夫と義母のゆがんだ親子関係に気づくことが大切です。
今の旦那さんの理解できない行動は、本当は母親への反抗なんだということを見破ることです。
母親への怒りを、妻に代わりに吐き出しているのです。
少し時間がかかるかも知れませんが、妻が夫の怒りを真正面から受け取らないこと。遅い反抗期だと思って、やり過ごすことが大切です。
自己肯定感が下がらないように、自分に愛情を注いであげましょう。
妻が気づいたら、夫婦は潜在意識の領域でつながっているので、しばらくして夫が気づく場合が多いのです。
今は妻に、自分の母親を重ねてみているので、妻の良さが見えないのです。でも、だんだん母親と妻を切り離せたら、落ち着いてきます。
また、「旦那さんがなぜかお義母さんに冷たくしたり暴言を吐く」と相談に来られる女性もいます。
奥さんから見ればとても優しそうなお義母さんなのに、夫が冷たく当たるので申し訳ない気持ちになり「もっとお義母さんに優しくしてあげたら?」と言いたくなるでしょう。
でも、お義母さんと長くつきあううちに、なんとなく自分もこのお義母さんと接するとモヤモヤするものを感じるようになります。
結果には原因があります。 子どもは本当は無条件母親が大好きです。なのに、なんかイライラする、なんかモヤモヤする・・というのは、母親によって罪悪感や劣等感を感じさせられているからです。
どんな感情にも原因があるので、自分が親に対するネガティブな感情があることに気づいたら、まずはそういう自分を許して、勇気をもって向き合っていくことが大切です。
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